今日は、千葉県で話題になっているキョン問題について書いてみたいと思います。
キョンとは、学名「Muntiacus reevesi」シカ科ホエジカ属に分類されるシカの一種です。
原産地は中国東南部、台湾で、肩高が50〜60cm程度の小型のシカです。
台湾では高級食材として知られています。
しかし、千葉県では、勝浦市の観光施設から逃げ出したキョンが大繁殖し、農作物に被害をもたらしています。
県は、キョンの分布拡大を防ぐために、一宮町と市原市を結ぶ「分布拡大防止ライン」を設定し、年間8500匹以上の駆除を目指しています。
では、なぜキョンが千葉県で野生化したのでしょうか?
キョンが外来種になった経緯や、現在の状況、今後の対策などについて、詳しく見ていきましょう。
キョンが千葉県で野生化した経緯
キョンは、台湾では「山羌」と呼ばれ、山岳地帯に生息しています。
キョンの肉は、脂身が少なくヘルシーで、臭みも少ないという特徴があります。
台湾では、キョンの肉は高級食材として珍重され、狩猟や養殖も盛んです。
キョンは、日本には本来生息していませんでしたが、昭和30年代に、台湾から動物園や観光施設に持ち込まれました。
その後、キョンは、千葉県の勝浦市にある「勝浦自然動物園」にも導入されました。
しかし、平成2年に、台風による水害で、勝浦自然動物園のキョンが逃げ出しました。その後、キョンは、周辺の山林に潜んで繁殖し、野生化しました。
キョンの現在の状況と被害
キョンは、千葉県で野生化した後、驚異的な繁殖力を発揮しました。
キョンは、1年に2回、1回に2〜3匹の子どもを産みます。
また、キョンは、人間に慣れやすく、農作物を好んで食べます。そのため、キョンは、千葉県内の農家にとって、大きな被害者となりました。
千葉県では、平成23年に、キョンが特定外来生物に指定されました。
特定外来生物とは、生態系に深刻な影響を与える恐れのある外来生物のことで、飼育や移動、放流などが禁止されています。
千葉県は、キョンの分布拡大を防ぐために、一宮町と市原市を結ぶ「分布拡大防止ライン」を設定しました。
このラインの南側には、キョンが約3万匹生息しています。
県は、このラインの南側で、年間8500匹以上の駆除を目指しています。
しかし、キョンの駆除は、なかなか進みません。
キョンは、夜行性で、山林に隠れて暮らします。
そのため、キョンを見つけるのは困難です。また、キョンは、人間に慣れているので、罠にかかりにくいです。
さらに、キョンは、鳥獣保護法で保護されているニホンジカと似ているので、間違えて撃ってしまう可能性もあります。
キョンの今後の対策
キョンの駆除には、多くの課題がありますが、千葉県は、様々な対策を講じています。例えば、以下のようなものがあります。
- キョンの生息地や被害状況を把握するために、ドローンや赤外線カメラなどを活用する。
- キョンの駆除に協力するハンターやボランティアを増やすために、狩猟免許の取得を支援する。
- キョンの肉を食肉に加工して販売する店舗を増やすために、衛生管理や流通の支援をする。
- キョンの駆除に関する情報や啓発を行うために、ウェブサイトやパンフレットなどを作成する。
これらの対策は、キョンの駆除だけでなく、キョンの肉の利用やキョンの理解も促進することが期待されます。
まとめ
今回は、千葉県で話題になっているキョン問題について書いてみました。
キョンは、台湾では高級食材として知られていますが、千葉県では、外来種として農作物に被害をもたらしています。
千葉県は、キョンの分布拡大を防ぐために、駆除や利用などの対策を講じています。
キョン問題は、千葉県だけでなく、日本全国の外来種問題にも関わっています。
外来種は、生態系に深刻な影響を与える恐れがあります。
私たちは、外来種に対して、どのように対処すべきなのでしょうか?
キョン問題をきっかけに、外来種について考えてみることが大切だと思います。