ラッコは海に住むぬいぐるみのような動物ですが、
実はイタチ科の哺乳類で、体温を保つために毛皮がとても密集しています。
ラッコは食事や休息のときに海藻などに手足を絡ませて流されないようにします。
また、石や貝殻を使ってエサを割ったりすることもあります。
しかし、ラッコは絶滅危惧種であり、その生存が脅かされています。ラッコが絶滅危惧種になった理由と、その保護がなぜ重要なのかについて、以下で詳しく見ていきましょう。
ラッコが絶滅危惧種になった理由
ラッコは1800年代に毛皮目当ての乱獲で激減しました。
当時、ラッコの毛皮は高級品として人気があり、世界中で取引されていました。
ラッコは約20万頭から30万頭いたと推定されますが、乱獲によって約2000頭まで減少しました。
1911年には、日本・ロシア・アメリカ・イギリスの4カ国がラッコの保護条約を結びました。
この条約によって、ラッコの狩猟や取引が禁止されました。
その後、ラッコの個体数は回復傾向にありますが、依然として絶滅の危機に瀕しています。
ラッコが絶滅危惧種である現在の主な脅威は、以下のようなものです。
- 環境汚染:ラッコは海面近くに住んでいるため、油や化学物質などの汚染物質にさらされやすいです。汚染物質はラッコの毛皮や皮膚を傷めたり、内臓や免疫系に障害を引き起こしたりします。
- 漁業との競合:ラッコはウニ類や貝類などを食べることで、漁業者と餌を奪い合うことがあります。漁業者はラッコを害獣とみなし、駆除したり罠にかけたりすることがあります。また、ラッコは漁網や漁具に巻き込まれて死亡することもあります。
- 遺伝的多様性の低下:ラッコは乱獲によって個体数が激減したため、遺伝的多様性が低下しました。遺伝的多様性が低いと、病気や環境変化に対する適応能力が低くなります。
ラッコの保護の必要性
ラッコを保護することは、人間の利益にもつながります。
なぜなら、ラッコは海の生態系に大きな影響を与える動物だからです。
ラッコはウニ類や貝類などを食べることで、海藻・海草類の食害を抑制し、豊かな海草の森を守っています。
海草の森は二酸化炭素の吸収や魚類の産卵場所として重要な役割を果たしています。
ラッコが消えると、ウニ類が増えて海草の森が失われ、海の生態系が崩壊する恐れがあります。
海の生態系が崩壊すると、人間にも悪影響が及びます。
例えば、漁業資源の減少や気候変動の加速などです。
ラッコを保護することは、海の健康を維持し、人間の生活を守ることにもつながります。
日本国内でのラッコの現状
日本国内では、水族館でラッコを見ることができる場所はわずか2カ所になりました。それは、鳥羽水族館(三重県)とマリンワールド海の中道(福岡県)です。
この2カ所で飼育されているラッコは合計3頭で、すべて高齢です。
繁殖は極めて難しいとされています。
水族館でラッコを飼育することは、国際的な規制や技術的な困難さから困難になっています。
ラッコは絶滅危惧種であり、ワシントン条約で国際取引が厳しく規制されています。
日本では2003年以降、新たな個体を入手することができませんでした。
また、ラッコは飼育下でも繁殖しにくく、国内では2010年以降出産例がありませんでした。
水族館関係者は、ラッコの飼育技術や保全活動を続けていますが、水族館からラッコが消える日も近いかもしれません。
一方で、北海道沿岸では野生のラッコが再定着していることが確認されています。
これは、ロシア領から南下してきた個体が増えた結果だと考えられます。
日本では古くからラッコが生息していましたが、毛皮目当ての乱獲や環境変化などで姿を消しました。
今後は、野生のラッコを保護し、再び日本の海に住むことができるようにすることが必要です。
そのためには、人間とラッコとの関係や共存の可能性を探っていくことが大切です。
まとめ
ラッコは絶滅危惧種であり、毛皮目当ての乱獲や環境汚染、漁業との競合などによって生存が脅かされています。
ラッコは海の生態系に大きな影響を与える動物であり、その保護は人間の利益にもつながります。
日本国内では水族館でラッコを見ることができる場所はわずか2カ所になりましたが、北海道沖では野生のラッコが再定着しています。
ラッコに関する知識や理解を深めることで、ラッコと人間との共存の可能性を探っていくことができるかもしれませんね。
東京から鳥羽水族館(三重県)とマリンワールド海の中道(福岡県)へのそれぞれの詳しいアクセスルートです。