近年、葬儀の形式にこだわらず、故人を見送りたいという思いから、
直葬(ちょくそう)を選ぶ方が増えています。
直葬とは、通夜や告別式などを行わずに火葬のみを行う葬儀形式です。
直葬は、参列者への対応が不要で、葬儀費用を抑えられるというメリットがありますが、一方で、親族の理解が得られない場合や、故人とのお別れの時間が短くなるというデメリットもあります。
この記事では、直葬について、手続きや費用、注意点などをわかりやすく解説します。
直葬の手続き
直葬を行うにあたって、必要な手続きは以下の通りです。
- 死亡届の提出
- 火葬場の予約
- 遺体の安置
- 火葬
- 収骨
- 諸手続き
死亡届の提出
人が亡くなると、まず死亡届を提出する必要があります。
死亡届は、故人の死を知ってから7日以内に、故人の住所地の市町村役場だけでなく、故人が亡くなった場所の市町村役場にも提出することができます。
死亡届には、死亡医師が記入した診断書などの書類が必要です。
また、届出人の印鑑(シャチハタ不可)、届出人の身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)が必要です。
死亡届を提出すると、火葬許可証が発行されます。火葬許可証は、火葬場に持参する必要があります。
火葬場の予約
死亡届を提出したら、次に火葬場の予約をします。
火葬場は、故人の住所地の市町村が指定する公営のものや、民間のものがあります。
民間の火葬場は、インターネットで予約することができるところもあります。
火葬場の予約は、葬儀社に依頼することもできますが、自分で行うこともできます。
自分で行う場合は、火葬場の種類や地域によって予約方法が異なります。
火葬場の予約は、できるだけ早めに行うことが望ましいです。
火葬場は混み合っていることが多く、すぐには火葬できない場合もあります。
また、日本の法律では、故人の死から24時間後でなければ火葬できません。
そのため、火葬は通常、故人の死の翌日以降に行われます。
遺体の安置
火葬までの間、遺体を安置する必要があります。
遺体の安置場所は、自宅や病院の霊安室、葬儀社の斎場などがあります。
遺体の安置場所は、故人や遺族の希望や状況によって選びます。
自宅に安置する場合は、葬儀社が執り行います。
病院の霊安室に安置する場合は、長時間はいられないことが多いです。
また、葬儀社の斎場に安置する場合は、使用料がかかります。
遺体の安置場所を確保することは、直葬の中でも重要なポイントです。
日本の法律では、「故人の死から24時間以内は火葬できない。」
そのため、最低でも24時間は安置する必要があります。
したがって、その費用も考慮しなければなりません。
火葬
火葬場に到着したら、遺体を棺に納めて、炉の前でお別れをします。
このとき、お坊さんを呼んでお経を読んでもらうこともできます。
お別れを済ませたら、火入れとなります。
火入れ後、1時間ほどで収骨室に呼ばれます。
火葬の費用は、火葬場の種類や地域によって異なりますが、平均的には3万円から5万円程度です。
しかし、火葬場の使用料だけでなく、棺や骨壺、遺体搬送費なども含めると、直葬の費用の相場は約10万円から30万円とされています。
直葬は通常の葬儀よりも費用を抑えられますが、火葬の費用だけでなく、その他の費用も把握しておく必要があります。
収骨
収骨は、遺骨を骨壺に納めることですが、その際には、骨を拾う順番や方法に注意する必要があります。
骨を拾う順番は、故人の配偶者や子供、孫、兄弟など、故人との親密度によって決めます。
骨を拾う方法は、箸で拾って骨壺に入れるのが一般的ですが、箸同士で骨を渡さないようにします。
これは、お盆の精霊棒を渡す儀式と重なるため、縁起が悪いとされています。
収骨を済ませたら、解散となりますが、その後にお墓に納骨する場合は、お寺や墓地の予約や手続きが必要です。
諸手続き
直葬を終えても、各種の手続きは残っています。
以下の手続きを忘れずに行いましょう。
- 仏壇やお墓を準備する
- 国民年金や健康保険の行政手続きを行う
- 公共料金の名義変更や支払停止手続きを行う
- 銀行口座の確認をする
- 相続手続きをする
- 香典返しの準備をする(※ 直葬なので不必要であるものの、実際には、葬儀後に挨拶に来る人もいらっしゃいます。)
直葬の費用
直葬の費用は、通常の葬儀に比べてかなり安く抑えられます。
直葬の費用の内訳は以下の通りです。
- 火葬場の使用料:3万円~5万円
- 骨壺:1万円~3万円
- 棺:2万円~5万円
- 遺体搬送費:1万円~3万円
- 遺体安置費:1万円~5万円
- お布施:5万円〜10万円(お布施の相場は、地域や宗派によって異なりますが、一般的には 5万円〜10万円 が目安とされています。また、直葬後に法要や供養を行う場合も、お布施が必要になることがあります。)
以上の費用を合計すると、直葬の費用の相場は およそ10~30万円となります。
葬儀社によっては、8万円前後のプランを用意しているところもあります。
直葬の費用は、通常の葬儀の 10分の1程度に抑えられる と考えてよいでしょう。
直葬の注意点
直葬は、葬儀費用を抑えられるというメリットがありますが、注意点もあります。以下の点に注意して、直葬を行いましょう。
- 故人の意向を確認する
- 親族の理解を得る
- 参列希望者に連絡する
- 菩提寺に相談する
故人の意向を確認する
直葬を行う場合は、故人の意向を確認することが大切です。
故人が生前に直葬を希望していたかどうかを、遺言や家族との会話などで確かめましょう。
故人が直葬を希望していなかった場合は、直葬を行うことによって故人の冥福を損なうことになるかもしれません。
故人の意向を尊重することが、直葬を行う上での最低限のマナーです。
親族の理解を得る
直葬を行う場合は、親族の理解を得ることも重要です。
直葬は、通夜や告別式などを行わないため、親族にとっては故人とのお別れの機会が少なくなります。
また、親族の中には、直葬は故人を軽んじるものだと考える人もいるかもしれません。
そのため、直葬を行うことについて、親族に事前に説明し、納得してもらうことが必要です。
親族の中には、直葬に反対する人もいるかもしれませんが、その場合は、故人の意向や遺族の事情を尊重してもらうように交渉しましょう。
参列希望者に連絡する
直葬は、親族や親しい友人など、限られた人数で行うことが多いです。
しかし、故人には、参列したいと思う人が他にもいるかもしれません。
そのような人には、直葬を行うことや日時、場所などを連絡し、参列の可否を確認しましょう。
参列希望者が多い場合は、火葬場の収容人数や駐車場の台数などに注意して、参列者の調整を行いましょう。
参列できない人には、後日、お悔やみの言葉やお供え物などをいただくことができます。
菩提寺に相談する
菩提寺とは、故人の宗教や家系に関係する寺院のことです。
菩提寺に相談することで、以下のようなメリットがあります。
菩提寺に相談することは、直葬を行う上での義務ではありませんが、故人の冥福を祈ることにつながります。
まとめ
直葬とは、通夜や告別式などを行わずに火葬のみを行う葬儀形式です。
直葬は、葬儀費用を抑えられるというメリットがありますが、
故人の意向や親族の理解、参列希望者の連絡など、注意点もあります。
直葬を行う場合は、故人や遺族の希望や状況に応じて、適切に手続きや費用、注意点などを考慮しましょう。
直葬は、故人を見送る一つの方法です。
故人の冥福を祈りながら、直葬を行いましょう。
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